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麻酔科医師の研究日誌

今週の勉強会はARDSです(ARDSベルリン定義)

ARDS勉強会です。

いよいよベルリン定義(ARDS The Berlin Definition)が、新たなARDS重症分類として表立ってきました。
自分としても、復習の意を込めて再勉強しました。

今回のベルリン定義について、なぜ新たな定義が必要になったのか、という背景が重要であると考えました。


まず、AECC定義から18年の応用研究を経て、様々な問題が新たに出てきました。
そこで、新たなベルリン定義の制定となった訳ですが、ポイントは以下の通りです。

☆急性を定義する明確なクライテリアの欠如 → 既知の臨床的傷害、あるいは新たな呼吸症候群の悪化から1週間以内の発症とする
☆異なる人工呼吸器のセッティングに対するP/F比の感度 → 最低使用PEEPを5cmH2Oとする。PEEP>10cmH2Oであれば重症(severe)へ分類
☆胸部X線画像の信頼性の欠如 → CTスキャン画像による診断も可とする
☆静水圧性肺水腫の区別困難(肺動脈カテーテルの使用頻度が減ってきたこと) → 必ずしも肺動脈楔入圧での評価を必要とせず、臨床的心不全症状の除外を行うことと明記
☆ALIを廃止し、ARDS(severe、moderate、mild)へ一本化
(ARDS The Berlin Definition The ARDS Definition Task Force JAMA 2012; 307(23) 2526-2533)

などです。新たなARDSを勉強する上で、この背景を理解することは必須だと思います。是非あわせて追加して勉強しておくことが望まれます。

http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1160659